遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます3話 遠藤さんは笑いを堪えるのに必死。
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最終更新日:2018/12/05
遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます
今回のゲストは高畑敦子さん。FBIの凄腕捜査官を高畑敦子さんならではの演技力で演じられました。遠藤さんは笑いを堪えるのに必死です。
オリジナルバージョン
諸井情の事件簿 Case3 赤い捜査官
『その連続猟奇殺人犯は必ず殺人現場にカタツムリのマークを残す。通称エスカルゴ。警視庁は特捜班を作り、その捜査には多摩川署きっての人情派・諸井情があたっていた。』
殺人現場は大きなお屋敷。諸井情(遠藤憲一)が入っていくと、犬を抱えている被害者の妻が警察に質問をされています。部下の刑事補・田所に状況を説明してもらいます。
寝室の中には、カーテンに血で描かれたエスカルゴのマーク、ベッドの上には男性が血だらけで死んでいます。10回は刺されたとのこと。
そこへ多摩川署所長が入ってきました。上からの判断で任命された元FBIの凄腕の捜査官・冴島ゆり子を紹介します。諸井が自己紹介をすると、口臭からランチは生姜焼きと当てました。冴島は五感が優れていて嗅覚は犬の10倍あるのです。
破天荒だという冴島との捜査が始まりました。教科書通りの諸井の見立ては途中で遮られました。
冴島はまず身体のにおいをかぎました。
「アルコールのにおい。ウィスキーね。それと睡眠薬。」
驚く諸井に「睡眠薬で体液が変わる。アメリカじゃ常識。捜査のいろはのいよ。」
冴島は何かに気づいて被害者の足元を差しました。臭いをかいでみろと言われてためらう諸井に、足元がぬれていることを指摘しました。諸井が臭いを嗅いでみるとそれは尿のにおい。被害者の犬と思いつきました。
冴島「この現場はこれまでのエスカルゴの犯行とは何かが違う。何度も無意味に刺している。犬のおしっこがあって睡眠薬。エスカルゴの犯行にしては何というか、そう、美しさがないの。美しくないのよ。」
死体の横に寝そべる冴島。驚く諸井を気にもせず目を閉じます。
「しっ、聞こえる。被害者の声が聞こえる。」
アルコールに何かを入れる人物。そのアルコールを飲んで横たわる被害者。
「あなた」
そこで一突き。
目をカッと開ける冴島捜査官。これは模倣犯の仕業だと断言しました。
被害者の妻が財産目当てで殺したと自供しました。エスカルゴのマークは自分で描いたのです。
冴島「エスカルゴの犯行なら目撃者が犬でも生かしておかないわ。きっと彼の犯行を真似しようものならそれすらゆるさない。」
諸井「模倣さら許さない・・・。」
そこで何かに気づく冴島。女性の絶叫が聞こえました。駆け付けると妻と警官が倒れています。妻の首からは血が出ていて死亡を確認しました。
冴島「まだ近くにいるわ。」
諸井「ちょっと待ってください、エスカルゴマークがない。さすがに俺たちにびびって。」
冴島「今?行くわよ。」
諸井たちがいなくなると、倒れていた警官が起き上がって床に何かを描き始めました。カタツムリです。
その直後に駆け付けた他の警官たちに「救急車呼んでください。諸井警部たちは犯人を追っています。」
現場が慌ただしくなる中、悠然と立ち去るエスカルゴ。
高畑敦子に代役
「はいオッケー」
冴島役はオールアップ。花束を渡されて立ち去ります。
そこへもめている監督、助監督 アシスタントプロデューサー。今回の問題は犬の尿が用意できなくて、助監督が自分のものを使ったこと。コンプライアンス的に問題があるのだそうです・・・ネットで叩かれたら大炎上になると。
そこへ、飲みに行こうと高畑敦子が現れました。
遠藤「撮りなおすとか言ってるんだよね。」
監督「高畑さんと遠藤さんはどのような関係?」
高畑「私たち?体の関係?」と爆笑します。
監督に頼まれて、遠藤が代役を切り出すと、高畑は速攻やると言いました。
「私やるよ、ちゃっちゃとやって飲みに行こうよ。」
高畑敦子バージョン
オープニングはオリジナルと同じ。
高畑淳子の冴島が入ってきました。諸井に妙に顔を近づけて「冴島です。」
冴島「お前の見立ては?」
諸井「はい、今までのエスカルゴは腕のいい外科医のように相手を一突きで殺しています。しかし今回は10か所以上。何やってるんすか?」
高畑は、死体のパンツの中をまさぐっています。
諸井「股間、触っちゃまずいんじゃないですか?」
冴島「ばかやろう!死後硬直の度合い、確かめてるんだろうが。股間は血液が一番集まる場所なんだよ。アメリカじゃ常識だぞ。捜査のいろはのいだよ。」
諸井「素手で触っちゃまずいんじゃないんですか?」
冴島「手袋してたら熱が伝わんねえだろう。いろはのいなんだよ。」
冴島は犬みたいに臭いをかぎます。「まさか!見てみろ。」
被害者の脇を指します。諸井に臭いをかがせる冴島。
冴島「どうだ。」
諸井「汗臭いです。」
冴島「脇だからな。アメリカ人の脇はもっとくせえぞ。いろはのいだよ。」
意味の分からない諸井に、真剣な顔で冗談だと冴島。次は下半身です。
足元に顔を近づけて、臭いをかぎます。「見ろ。そうか。そういうことか、これは犯人のメッセージか。」
諸井に足を舐めろと言います。ためらう諸井。
「バカやろう、いつまで遊びのつもりでいるんだよ。もし睡眠薬を飲んでいたら体液の味が変わる、その確認だろう。」
諸井は顔を足に近づけて少し舐めてみて、びっくりして顔を離しました。
そこで目を合わせて吹き出す二人。
冴島「お前よくやれるな、死んでるのいいことにおっさんの足なめて、ひくわー。変態だな、諸井は。言っていいか、みんなに、諸井は変態だって。DNA鑑定したらお前が疑われるぞ。いろはのいだぞ。」
冴島は勢いよく赤いコートを脱ぎました。
「ジョークのジョはさておき、本気出します。」
目を見開いてベッドの死体のそばに倒れこみました。宙を見つめて「は!そうかー。そういうことか、我々は全くの見当違いをしていた。」
冴島の見ている方を諸井も見てみますが、怪しいものは何も見えません。
「寝てみろよ。」天井の一点を見ている冴島。
起き上がった冴島の代わりに諸井も寝てみますが、隣の死体が気になります。
冴島「何が見える?」
諸井「天井と、エスカルゴマークが想像に見えます。」
頭をぺしっと叩く冴島。二人とも吹き出します。諸井(遠藤さん)は笑いが止まりません。
冴島「お前の目は節穴か?足首つかんでみろ、足首。」
諸井「はい?」
寝転びながら足をつかもうとする諸井の体の向きを変えて、エスカルゴみたいに丸めてしまった冴島。それをスマホで連写します。
冴島「お前、遺体の横ですげえな、インスタに載っけようと思って。これ見て見て。炎上間違いねえぞ。いやしかし諸井情は、諸井情ってのは!」
冴島は、バカ笑いして立ち去りました。
残されたあぜんとしている諸井。「夢を見てるのか。」
『多摩川署きっての人情派、諸井情、その名の通り、情にはもろいが事件には愛される男、そう、彼には明晰な頭脳も冷静な推理力もない。ただ愚直なまでに人を愛し、涙を流す。』
収録後
高畑「一生分の集中力を使いました。すごい苦手意識があるので、こういうのやったことが無いので。演劇学校とかでエチュードをやらされているような。」
意外そうなクドカン「えー、全然そういう風にみえなかったですけどね。」
遠藤「普段でもかっとんだ役やるじゃないですか。どういうところが違いますか。」
高畑「かっとんだ役、私やる?」
皆笑い出します。
クドカン「いっぱいやってる印象ですけどね。」
高畑「この字面から感じる脅迫感。面白いことないですか。それができるかな、って。」
遠藤「みんなそうみたいですよ。もう面白いから、それが真顔で来られるとツボっちゃって笑っちゃうんだよね。ここまで吹いちゃったのはね。何とか必死に我慢してますけどね。ダメだった。ポンって叩かれたところから。」
高畑「どこから壊れちゃった?」
遠藤「ポンっからです。」
クドカン「もうちょっと前から。」
高畑「足を舐めたあとに見つめあっているところから。」
クドカン「一番最初にやろうとした話です。これ打ち合わせで出て、一番最初に。なめさせといてよくやるなって。台本一番最初のあれなんで。」
監督らしい男性「それを高畑さんが本気で演じてくださったら、面白くなるんじゃないかって工藤さんと話してて。」
高畑「真面目な話になりますけど、本気って、結局芝居が何が本気かっていう、そこなんだろうなって。架空のものをどれだけ信じられるかっていう力を試されている気がするんですよ。私の中でおもしろいけど、これ買って、これが150円で、こっちが149円だから買うみたいな、そういう生活じゃないことを信じなきゃいけない、っていうのが、おばちゃんにとってはすごいハードルだったんじゃないかな、って思うんですよね。架空の世界でどれだけ信じて遊べるかっていうことが。私ばっかりしゃべってるよ。あんた。」
高畑さんは、ペシっと遠藤さんを叩きます。
遠藤「いや、毎回出るからいいんです。ゲストのコーナーですから。」
高畑「それを試された気がする。」
クドカン「面白いたとえですね。現実感がないこと?」
高畑「私にとっては149円か150円かは信じられるけど、股間をまさぐるのはなかなか信じられないけど、でもそこを信じて一生遊べる力を試された気がする。」
クドカン「股間を触るくらいまではまだ大丈夫でしたよね。ちゃんと捜査しているかのように見えました。」
吹き出す高畑さん。
遠藤「マジでやらせといて、そのあとのセリフがやばいよね。おめ、よくやるな、って。展開がやばいんだよ。」
高畑「覚えてないよ。」
クドカン「高畑さんが出るって、当て書きしたのがこれなんです。」
高畑「えーーーー!」
クドカン「自分の中ではすっとやるだろうな、と思ったんです。」
真剣な表情で高畑「私ってこんな人間だと先生思われているんですか?」
クドカン「舐めさせてよくやるな、ていう人だとは思ってないんですけど、真顔というか、捜査を真面目にやっているかと思ったら、そうじゃなかったみたいな、テンションですかね。」
高畑「よく言われる。普段の面白さがなんで芝居に出ないのって。普段はこれと同じことをよくやるらしいんですよ。」
遠藤「昨日もさ、メールでさ、よろしくお願いしますって送ったら、『おう!』ってのが返ってきて。役入っちゃってるのかな、と思ったら、違う人と間違えてたって。」
そこで番組のジャージをプレゼントしてもらってうれしそうな高畑さん。
クドカン「後ろに遠藤さん、いますけど。」ジャージの後ろを指します。
遠藤「なんで工藤さん、いないんですか。」
高畑「私、遠藤さんの大ファンなんですよ。芝居なのか素なんだかわからない中間層を漂うのがスケベみたいにうまいじゃないですか。これなんか、固まらないままにゅるにゅると。」と手をなみなみとうねらせます。
クドカン「真顔で見てるだけなのになんか語ってるみたいに見える。すごいなって。」
遠藤「必死に耐えてるんです。やばい状態に吹き出す直前で必死に耐えてるんです。」
クドカン「それがなんか語ってますよね。『・・・』が意味のある『・・・』に見えるってすごいなって。」
高畑「どうするの?そういうとき。」
遠藤「何を言ってるんですか。」
2話、仲里依紗さんと加藤諒さんはこちらです。
遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます2話 感想 28歳同士の親子
1話、小栗旬さんはこちらです。
遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます1話 感想 下駄のカランカランが怖い工藤官九郎
感想
高畑敦子さんならではの迫力でした。最初のそつない冴島さんに比べて、ものすごく生き生きとした冴島さんになっていました。もっと見ていたかったです。
高畑さんの演技に、遠藤さんが笑いをこらえるのに必死になっていて。二人で目を合わせて吹き出しても、高畑さんは意外に簡単に立ち直るのに遠藤さんは何時までも笑っていました。ご本人もおっしゃっていたけど本当にゲラ(笑い上戸)なんですね。あんなに怖そうな外見なのに。
これは演じる遠藤さんが一番大変なのでは。代役を務めるゲストの方が一生懸命になればなるほど面白くなってしまうので、吹き出さずに演じるのは絶対大変です!
収録後では、高畑さんの演技論も聞けましたね。なるほど、俳優と言うのは信じ込む商売なんだと納得させてもらいました。
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